第1 犯人と被告人の同一性(解答)
(1)全体
https://gyazo.com/c6a153550733f3b62a06461c2fb6f804
あやしげな事実,起案に使えそうな事実は,いっぱいあります。
しかし,犯人から被告人までつながるかと言えば,かなり危うい感じです。今回は,認定できないのではないか,と思っています。
不審男と被告人の同一性,燃えた少年ジャンプと被告人との結びつき,法務局のライターと被告人の結びつき,これらは,問題なく認定できます。しかし,それらは,それだけでは,最終的な目的である犯人と被告人の同一性にとって,大した意味を持ちません。
この問題のポイントは,何かと何かが一致することが,犯人と被告人の同一性にとって,どのような意味を持つのかを,意識してもらうことでした。
(2)少年ジャンプ関連
https://gyazo.com/7d3f3a2cf2c0256e748a42db4494799c
現場に残された少年ジャンプと被告人との結びつきは,懸賞ハガキ,被告人が少年ジャンプを購入した事実,から言える。
しかし,犯人がその少年ジャンプに放火したことまでは言えるとしても,犯人が,自ら持参した少年ジャンプに放火したかどうかは,わからない。少年ジャンプと犯人の結びつきは,あまり強くない。
したがって,少年ジャンプと犯人との結びつきの弱さから,この間接事実全体も,弱い推認力しか持たない。
(3)近接存在関連
https://gyazo.com/3e6f1e12798505431b1cdc6833ec677c
不審男と被告人の同一性は,認定可能。
しかし,本件では,犯行時刻ころに現場にいただけで,不審男を犯人とすることはできない。
(4)たばこ・ライター関連
https://gyazo.com/bebe3c39b8aa6bd3b6a1bb5d940118f9
法務局に落ちていたたばこ・ライターが,被告人のものであることは認定できそう。
しかし,そのたばこ・ライターと犯人との結びつきは,非常に薄い。
2 構成例
code:構成例
第1 結論
第2 証拠構造
第3 間接事実の検討
1 少年ジャンプについて
(1)燃えた少年ジャンプと犯人の結びつき
ア 少年ジャンプに点火されたこと
イ 犯人が持っていたものである可能性
(2)燃えた少年ジャンプと被告人の結びつき
ア 懸賞ハガキ
(ア)被告人が少年ジャンプの懸賞ハガキ持っていた
(イ)燃えた少年ジャンプ,懸賞ハガキ,破られていた
(ウ)破り目,一致した
イ 少年ジャンプを買った事実
(ア)被告人,少年ジャンプ買った いつ・どこで
(イ)燃えた少年ジャンプ いつ・どこで
(3)推認力
もともと犯人が持っていたといえるか? 弱い。
2 近接存在について
(1)放火の時刻・場所
(2)被告人の時刻・場所
ア 不審男の時刻・場所
イ 不審男=被告人
(ア)服装・サンダル
(イ)時間・場所
(3)近接の程度
(4)推認力
かなり近接した時刻・場所。
でも,他にもいっぱいいた。
弱い。
第4 K田供述の信用性
第5 間接事実の総合
第6 被告人の弁解の検討
第7 まとめ